VTuberを自作すると決めたら、2Dと3Dのどちらを作るか悩みますよね。それに、どんなソフトを使えばいいのか、お金がどのくらいかかるのかが、気になるところです。
この記事では、2Dモデルと3Dモデルのメリット、デメリットを確認します。そして、それぞれのモデル作成に使うソフトやツールを紹介していきます。
この記事を読めば、あなたが2Dと3DどちらのVTuberモデルを作りたいかを明確にし、モデルを作るときに必要なソフトがわかるでしょう。
2Dと3Dのどちらがいいのか?
2Dモデルと3Dモデルの間には、制作コストや表現力において差があります。モデル作成に使うソフトを見ていく前に、それぞれのモデルにおけるメリット、デメリットを確認していきましょう。それぞれのモデルの特徴を知ることで、あなたが作るVTuberモデルはどちらにするべきなのか、明確にできます。
2Dモデルの特徴
2Dモデルは3Dモデルと比較して、制作しやすいという特徴があります。はじめてVTuberを制作するのであれば、2Dモデルのほうが作りやすいでしょう。
それでは、2Dモデルの特徴を挙げていきます。
制作の難易度が低め
3Dモデルと比べると、2Dモデルは作りやすいのが特徴です。
3Dモデルは下絵をもとにモデリングをしなければいけません。これに対して2Dモデルなら、その下絵に動きを付ければモデルが完成します。(もちろん下絵レベルから絵のクオリティを上げる必要はあるかと思います)
目や口の動きなど、VTuberとして基本的な動作だけであれば、動き付けも簡単です。試しに作る程度なら、全くのゼロから作り始めたとしても、1,2週間で2Dモデルを作れるのではないでしょうか。モデル作成に慣れれば、数日で2Dモデルを作りあげることもできるようになります。
全体の製作期間が短いので、モデルを完成させて動かすところまで持っていきやすいといえます。
パソコンのスペックをそこまで高くしなくてもいい
3Dモデルを動かすのは、意外とパソコンのスペックが必要になります。3Dのアクションゲームをバリバリやっているパソコンであれば問題ありませんが、事務作業に使うくらいのパソコンでは3Dキャラを動かせない可能性があります。もし動かせない場合、新しくパソコンかパーツを買い換えなければなりません。
2Dモデルであれば、そこまでパソコンのスペックが必要になることはありません。動画編集やライブ配信ができるパソコンなら2Dモデルをじゅうぶん動かすことができるでしょう。
服などのバリエーションを増やしやすい
完成した2Dモデルの服を変えたい場合、服の絵を描いて差し替えれば実現させられます。凝ったデザインの服に差し替えるときも、2Dなら前面の絵を描くだけでいいので、3Dより簡単です。
季節ごとに服を変えたい、いろんな姿を見せたい、ということであれば2Dモデルのほうが実装しやすくなります。
3Dモデルの特徴
3Dモデルが優れているのは、表現に幅が生まれる点です。2Dモデルでは実現が難しい動きも、3Dモデルであれば付けやすくなります。
それでは、3Dモデルの特徴を挙げていきます。
立体的な動きができる
3Dモデル自体の作成には時間がかかりますが、モデルができあがれば2Dより多くの表現ができます。身振り手振りをダイレクトに表現できるので、生き生きとした動きを見せやすくなります。
2Dモデルでも頑張れば立体的な動きを表現できます。しかし、そのための労力が大きくなってしまいます。
たとえば、腕をひねるだけでも、自然に見せようとすればパーツの追加が必要になります。腕自体も動かすのであれば、角度ごとに手の形を気にしなければいけません。
2Dモデルでは動きを細かくしようとすればするほど、労力がどんどん増えてしまうのです。
空間を動き回れる
3Dモデルであれば、機材を揃えることで空間を動き回れます。機材は高価ですが、それに見合うレベルで行動の幅が広がります。ジェスチャーゲームをしたり、ダンスを踊ってみせたりといった動きを見せるコンテンツを作るなら、3Dモデルを作るべきでしょう。
逆に、動きを見せるコンテンツを作らず、顔の動きだけで十分であれば、3Dモデルにする意味は薄いと言えます。
体形や動きの整合性がとりやすい
3Dモデルを動かすとき、モデル自体を変形させることは基本的にありません。そのため、どの角度に体を動かしても体形は変わりません。
これに対し、2Dモデルはパーツを変形することで動きを付けているため、動きによっては正面向きと違う体形になってしまうこともしばしば。デッサンが狂ってしまわないよう、微調整をする必要が出てきます。
オリジナルでなければ簡単に作れる
完全なオリジナルキャラである必要がなければ、3Dアバターを作成するソフトで簡単にVTuberを作れます。ゲームのキャラメイクのようにパーツを選択していくだけなので、2Dモデルを1から作るよりも簡単です。とりあえず動かしてみたいだけであれば、1時間もかけずにモデル作成して動かすこともできます。
2Dモデル作成に使うソフト
もし2DのVTuberになると決めたのであれば、さっそく使うソフトを見ていきましょう。必要になるソフトは3種類です。
- ペイントソフト
- アニメーション設定ソフト
- フェイストラッキング(表情認識)ソフト
この3つのソフトがあれば、モデルを完成させられます。
ペイントソフト
キャラクターの絵がなければ何も始まりません。まずはキャラクターを描くためのペイントソフトが必要になります。キャラクターの絵を描くだけでなく、動かす部位ごとにパーツ分けの作業もするためにも使います。
絵を描いたあとで使うソフトがpsd形式対応なので、psd形式で画像を保存できるペイントソフトを使う必要があります。
Adobe Photoshop
Adobe社のペイントソフトです。料金は年間プランで月2480円で、他のAdobe製品をすべて含めたコンプリートプランだと年間プランで月6248円になります。
Photoshopには様々な便利機能が備わっています。なので、すでにコンプリートプランで購入しているのであれば、Photoshopを使うのが一番いいでしょう。
7日間の無料体験版もあるので、試しに使ってみるのもいいかと思います。
CLIP STUDIO PAINT
セルシス社のペイントソフトです。PRO版は月額プランで月240円ですが、5000円一括払いで購入もできます。(PRO版とEX版がありますが、VTuber制作ならPRO版でじゅうぶんです)
Illustratorに負けないくらい機能が充実していて、利用者が多いソフトです。使い方を解説しているサイトも多いので、ペイントソフトに慣れていなくても使えるようになりやすいでしょう。
↓ CLIP STUDIO PAINT 公式ページ
FireAlpaca
PGN社のペイントソフトです。無料で使えます。
なんといっても無料で使えるのが強みです。FireAlpacaを使うことで、有料のペイントソフトを使わなくても問題なくキャラクターの絵が描けます。
アニメーション設定ソフト
ペイントソフトで描いたキャラクターを動かすためのソフトも必要になります。
まったく動かない一枚絵でもVTuberとして活動はできます。しかし、動きがあったほうが視聴者の印象にも残りやすくなります。少なくとも目と口の動きは付けたいところです。
Live2D Cubism
2DモデルVTuberの定番ソフトです。年間プランで15708円、月換算では1309円になります。
体のパーツ(オブジェクト)にメッシュを設定して動かすことでキャラクターモデルを動かせます。物理演算を設定して自然な揺れを表現するなど、細かい動きも設定できます。
機能が制限された無料版があり、基本的な顔の動き程度の動きの数であれば無料版でも設定できます。絵が描けたら試しに使ってみましょう。
Adobe Character Animator
Adobe社のアニメーションソフトです。このソフト単体で購入することはできず、コンプリートプランでの購入が必要になります。料金は年間プランで72336円、月あたり6248円になります。
PhotoshopやIllustratorで描いた絵をリアルタイムで更新しながら動きを設定できるので、PhotoshopなどのAdobe製品を使うなら相性がいいです。
また、フェイストラッキングでパペット(キャラクターモデル)を動かす機能もあるので、次で紹介する表情認識ソフトが不要になります。
→Adobe Character Animator 公式ページ
フェイストラッキングソフト
Live2Dで動きを設定したモデルなどを動かすのに使うソフトです。WEBカメラで自分の顔を撮影してトラッキングさせることで、その動きをモデルに反映させます。
VTuberの動画は、このフェイストラッキングソフトで動かしている映像を撮影して作ります。
FaceRig
VTuberを動かすためのソフトは?と聞かれたら十中八九このソフトが挙げられるくらい有名なフェイストラッキングソフトです。値段は1480円ですが、Live2Dで設定したモデルを動かすためには398円の追加モジュールが必要になります。
VTuberが生まれた頃から使われているソフトなので安定感があります。しかし、2021年末に販売、サポートが終了するので、今から使うなら別のソフトにしたほうがいいと思われます。
販売終了しても使えるみたいなので、買うだけ買っておくのもアリかもしれませんね。
Animaze
FaceRigの後進となるソフトです。基本ダウンロードは無料で、機能制限を解除するには年間19.99ドルのサブスクリプションを購入する必要があります。
FaceRigよりトラッキング精度があがっていて、顔を横に向けてもトラッキングが外れにくくなっています。機能制限を解除すればカメラの代わりにiPhoneを使ってカメラ代わりにすることもできます。
3Dモデルを動かすのがメインのソフトでもあるので、Live2Dのモデルを動かす機能はそこまで充実していないのが現状です。ただ、これから機能が増えていくようなので、将来性に期待したいソフトとなっています。
ちなみに、FaceRigを持っているとサブスクリプション代が半額になります。Animazeを使おうと考えているのであれば、FaceRigをセールで購入できないか確認すると得する可能性があるので、確認してみてください。
VTube Studio
DenchiSoftから提供されている、Live2Dモデル専用のフェイストラッキングソフトです。無料で利用できますが、ウォーターマーク(左下で動くミニキャラ)を取り除くには1520円を払う必要があります。
動作が軽く、高いトラッキング精度で、機能も充実しています。以前はスマホと連動させないとトラッキングできませんでしたが、今ではWebカメラを使ったトラッキングもできるようになり、使いやすくなっています。
スマホ版が存在し、2021年3月13日からはSteamでダウンロードができるようになりました。今後2DモデルVTuberの定番になるかもしれません。
3Dモデル作成に使うソフト
3DモデルのVTuberを作る場合、使うソフトは2つになります。
- 3Dモデリングソフト
- トラッキングソフト
ペイントソフトで絵を描かなくても、モデルを作ることは可能です。ただし、モデリングは絵を参考にしたほうが作りやすいので、あらかじめキャラクターのイラストは用意しておきましょう。正面、横、背後の三方向からの姿を描いた三面図があればベストです。
3Dモデリングソフト
VTuberとして動くことになる3Dモデルの形を作るソフトです。
モデルを作るために覚えることはたくさんありますが、3Dモデルを完成させれば、あなたの思いどおりに動かせるVTuberになることができます。
Blender
無料の3Dモデリングソフトです。
無料とはいえ、3D制作をするうえで必要な機能が揃っています。その機能の多さは、有料ソフトにも引けをとりません。
個人で使うのであれば、Blender一択かもしれません。
トラッキングソフト
モデルを作成したら、体の動きを取り込んで動かすソフトを使います。
動きを取り込む手段はいくつかあります。
- Webカメラ
- VR機器
- モーションキャプチャ
それぞれの方法で動きの自由度が異なり、自由に動かせるものほど高額になります。
Webカメラなら、3tene
プラスプラス社から提供されているVTuber向けアプリケーションソフトです。FREE、PRO、STUDIOの3種類があり、価格はそれぞれ無料、2200円、32780円となっています。
FREE版でWebカメラによる操作が可能ですが、PRO版であればVR機器による操作が、STUDIO版であればモーションキャプチャによる操作が可能になります。
2Dモデルをフェイストラッキングで動かすような感覚で、簡単に3Dモデルを動かせます。とりあえず動かしてみるのにオススメです。
VR機器なら、バーチャルキャスト(Virtual Cast)
バーチャルキャスト社のVRライブ・コミュニケーションサービスです。無料で利用できます。
VRゴーグルを使った一人称視点で3Dモデルを動かせます。カメラアイテムを使えば、パソコンにカメラ視点の映像を映すことも可能です。また、顔の表情もコントローラーを使って操作できます。
このサービスにはニコニコ動画やSHOW ROOMでのライブ配信に連携する機能もあります。(YouTubeは法人向けエディションのみ連携可能)連携することで、コメントを画面内に落とすなど、サービス特有の演出が可能になります。
モーションキャプチャなら、Unity
モーションキャプチャを使う場合、Unityを使う選択肢があります。無料で使えます。
PERCEPTION NEURONというモーションキャプチャを使うなら、3tene STUDIOを使うのもアリです。しかしながら、3tene STUDIOは年間198000円(税別)と高額です。機能が制限された3tene STUDIO liteでも年間98000円(税別)となっています。
もともとUnityはゲームを作成するためのソフトなので、3Dモデルを動かす方法を学ぶ必要があります。それと同時に、やり方がわかればゲームを作るようになんでも設定できるようになります。たとえば、カメラの位置や光源の設定、他にもエフェクトを好きなタイミングも思うがままです。
総じて、技術が必要ながらも自由に表現できる方法といえます。
(番外)簡単に3D配信できるアプリ
3Dモデルを1から作って配信するのは大変ですが、ここで紹介するアプリを使えばスマホで簡単にすることができます。2Dモデルを自作するより簡単にできるので、VTuberになる敷居が一番低くなる方法と言えるでしょう。
REALITY
アバターを作成し、REALITYアプリ内でライブ配信ができます。メッセージのやりとりなど交流手段も充実しているので、このアプリ1つでVTuber活動を完結させることも可能です。
カスタムキャスト
3Dキャラを作成し、ニコニコ生放送でライブ配信することができます。作成したキャラをVRM形式でデータ出力することも可能なので、バーチャルキャストなどの他サービスにも利用できます。
求めるVTuber像にあわせてソフトを選ぼう
2Dモデルを作成するなら、
- ペイントソフト
- アニメーション設定ソフト
- フェイストラッキング(表情認識)ソフト
3Dモデルを作成するなら、
- 3Dモデリングソフト
- トラッキングソフト
が必要になります。
この記事で紹介してきたソフトのなかで、個人的にオススメするソフトもお伝えしておきます。
2Dモデル作成はCLIP STUDIO PAINT、Live2D Cubism、VTube Studioの3つです。
3Dモデル作成はBlender、3teneの2つです。
無料もしくは安価で試すこともできるので、実際にダウンロードして使ってみてください。
ただし、VTuberを商用利用する場合は有料で購入しないといけないケースが多くあります。お金を稼ぐためにVTuberを作成する場合は、商用利用ができるかどうかも確認しておきましょう。